戦果

戦果

　東京大空襲や投下後、１年以内に仕事で原爆が投下された広島に足を踏んだこともある第二次世界大戦の記憶が残っている御大に、たまに戦時中の話を伺うが、その時代を生きた人間の言葉には適わないなと常々思う。
一昨年も、戦時中の話を饒舌で元気なとあるお婆さんから、戦時中における地方で暮らす庶民の生活話を、車内で延々と様々ことを聞くことができ大変興味深かった。
世代的に戦争の経験もない不肖・上等兵も物や映像、世界各地で起きている紛争などから想像しうる範囲のみでの知識としかないため、当時の人々の想いを知ることができるのは、貴重な体験だ。ましてや、私の祖先も南方前線から無事に生還した者や、戦闘機で戦死した血筋もいるために、今度の日本と中国における領土問題に関して大変憂慮している。

お互いに引くにひけない状況が起きた場合、両国がそのあるラインを超えたら、そしてお互いの仲をとりもつ仲介者や干渉者がきちんと機能しない場合、お互いに振り上げた拳は下ろされることになるだろう。それは日本における個人の問題もそうであり、刑事的民事的な法律はそのためにある。ましてや国際的には、警察やら裁判所などは全く機能していない現状で、そのデッドラインを超えたら、領土問題は戦争紛争に突入する。

両国にまたがる深い根強い問題があるのは承知の上で、一部の過激な政治家や行動者のために、両国の市民が深い傷を追うことは絶対に避けなければならない。

かつて、日本と中国における「日中平和友好条約」を成し遂げた両国の先人の知恵を、
我々は先に踏みにじるようなことを先にしてはいけないのである。