戦果

戦果

　大きな鍋の中には大量の具に汁が混ざっていて、その分配をしきるお玉は長らく同じ人によって行使されていたけれども、時代が変わり、分配を司る黄金のお玉が別の人に変わった。混沌かつ難解なお鍋であるけれども、一定の美味しさを保つ為の秘訣はある程度維持されてきたものである。しかし様々な外的要因及び施行の末に、分配のお味に、文句をつける人が出てきた。勿論彼らは文句たらたらであろう。受け取る量、美味しさに格差があるのだし、お鍋の将来が不安になってきたからだ。分配を司る黄金のお玉は、新しき主に変わったけれども、とにあえずこうしたいという味の方向性はあるのだが、なにせ本格的料理を作るのは初めて。長年下ごしらえをしてきたお手伝いさんの耳もかさず、勿論彼らが一番お鍋の中の良い部分をむさぼってきたのだが、双方共に信頼関係を築くのは時間もかかるだろう。ましてや、今度は別のお手伝いさんがこうしたらいいですよ？みたいに自分の利権の為に、新しき主に助言をするのだろう。